認知症の予防と治療 (あいあいバックナンバーより)

 

以前は呆けとか痴呆症と呼ばれていた病気が、認知症に変わったのはつい最近のことです。認知症は、主に老年期に、脳の病気の結果発生し、生活に支障がでる状態を言います。

日本では、認知症になる人が急激に増加しております。20年くらいたちますと、山形県民の何と3.8倍にあたる450万人程の人々が発病すると予想されており、介護保険制度が創設される根拠のひとつになっております。

認知症になりますと、以下のような症状が出てきます。

  1. 物忘れがひどくなり、何度も同じことを繰り返す
  2. 新しいことが覚えられない
  3. やる気が失せ、だらしなくなる
  4. 正常なところとそうでないところが入り交じる
  5. 時間や場所が分からなくなったり、家族の名前を忘れたりする
  6. 時間の感覚がないために夜半に行動したりする
  7. 手際よく計画的に行動できなくなる
  8. 疑り深くなったり訳もなく怒ったり性格が変わる
  9. 環境が変わると落ち着かなくなり、人にたよる傾向が出てくる

症状のでかた、程度は人により異なります。このような変化が起こって来ましたら、認知症を疑い、私ども精神科にご相談下さい。

早期発見が大切です

認知症は予防できるのか?

これまでの研究では、高血圧や糖尿病等の生活習慣病の調整、頭を使い、運動も心がけ、社会的ひきこもりにならず交流を続けること が、予防につながることがはっきりしております。

認知症のタイプにより進行を遅らせる薬は既に使用されております。脳内にできる異常物質を除去し、根本的 に治す薬は開発されつつあります。

認知症は、ますます、増えていきます。ご家族の様子が何か変だなと感じた場合は認知症発症の可能性があります。早めにご相談下さい。早期発見、早期治療は、何にでも大切です。

認知症問題は、100年以上前から精神科の大きなテーマのひとつで、当院は創設以来、これに取り組んで参りました。この度の全面改築では、認知症の治療を行 う病棟を設けました。外来には、医療保険型のデイケアも作りました。専門医による治療も合わせこれまでより大幅に充実したものにできると考えております。

2008夏号No48