新年のご挨拶
令和3年を迎えて
かみのやま病院 院長 田所 稔
新年あけましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。あらためましてお礼申し上げます
今年は、移動自粛やステイホームなど、いつもとは違うお正月で幕が開けました。患者様やご家族様にも各玄関での検温と手消毒、面会禁止や外出外泊等の制限のお願いを申し上げ、ご不便をお掛けしていること大変申し訳なく思っております。どうかご理解とご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
新年の挨拶としては、いささかそぐわない話題となりますが、コロナに関しては今年も大変な年になることを覚悟しなければなりません。このようなことは、20世紀前半にもありました。人類にとって最大のパンデミックは、スペイン風邪と言われているものですが、世界の人口が20億人の時に5億人が発症し、犠牲者は、アメリカ55万人、ロシア45万人、イギリス20万人、中国400〜1000万人、インド1200〜2000万人、イタリア50万人、日本でも38万人にのぼりました。それらを教訓に先人は以下の教訓を残してくれました。
- 人間は免疫を持たない病気に対して驚くほど弱い。
- 新型インフルエンザが世界的に流行すると1億5000万人もの死者が出る。
- 賢者は最悪を想定しつつ楽観的に行動する。
人類の歴史をどのようにとらえるか定義の仕方にもよりますが、人間の誕生を25万年〜2000万年前と考えたとしてもウイルスの歴史は40億年前後です。人類は誕生した時からウイルスとともに生きているわけです。したがってウイルスの生態を知ることは重要です。ウイルスは、宿主には沈黙を守り、宿主の免疫力が下がった時、症状を発現させます。加えてウイルスは遺伝子の束のようなものであり、足はありません。またオゾンと紫外線が有効です。
このようなことを考えただけでも、コロナに対して人類は互いの信頼の上に協力し合い、助け合うことが重要と思われます。感染された方やそのご家族、関係者への誹謗中傷、罵声を浴びせたり石を投げつけたりするのはもってのほかであることは言うまでもありません。
私たち精神科医療に従事する者は、それらがいかに人の心を傷つけ、その傷がさらに人々へ広がってしまうという過去の苦い歴史と反省のもと心の医療を行っています。
本年も感染対策を講じながら、コロナ渦にあっても患者様、ご家族様、地域のみなさまに安心してご利用していただけますよう職員一同努力してまいります。
そして今年のクリスマスをみんなで楽しみましょう。
2020(令和3)年1月1日
※宿主:ウイルスを含めて全ての寄生生物が寄生する相手の生物